2016年1月1日
本家菊屋 軸「一口残」の話
弊店に伝わる横3文字の軸(茶室の小間に掛けるのにちょうど良いサイズ)がございます。
そこには「一口残」とあり、添え書きに「求めに応じて書く」とございます。
今は軸装してありますが、ずっと額に入り仏間に飾ってあったもので、
ずいぶんと年数の経過した色になっております。
どなたの書いたものかも分からず、
ガラスもはめずに掛けてありましたのですが、
先代が気付き軸にさせていただいたものです。
これは大名茶人で有名な
柳澤堯山(やなぎさわぎょうざん)公の書でございます。
先祖があつかましくもお殿様に菓子を納めた際にお願いして
書いていただいたものです。
意味合いは「お菓子が美味しかったから、
後でまた食べる為に一口分だけ残しておこう」というものです。
堯山公のお人柄と、お殿様と先祖の間柄が想像できますよね。